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児島和也(竜跳)は小学校4年生、10歳の少年。母はストリッパーのジプシー風祭、実父が誰なのかは知らなかった。数年前に里子に出された和也は、母とは別々に暮らしていた。ところが、里親に待望の男子が誕生して、和也は居場所を失ってしまう。そんな時に、母の訃報が舞い込む。「ジプシーが死んだ…」と。 和也はそのまま母が住んでいたアパートに残り、里親の家には帰らず、ジプシーのヒモだった良輔(鳥羽潤)と暮らしていた。そこに、和也の担任教師、笹野(小林麻子)が訪ねてきた。笹野は良輔から和也の居所を聞き出し、連れ戻そうと考えていた。先生の話を押し入れで聞いていた和也は、その場所から逃げだす。

 

自転車の乗り方を教えている父と息子の姿を眺めてから、何かを思う和也。アパートに戻り、良輔に尋ねる。「フランス座って横浜だろ?」。母と和也とが暮らした思い出の場所、少年はフランス座へ行く決意を固める。 和也の旅が始まった。電車賃を持っていない和也は、蒲田から歩き始める。見たことのない景色、照りつける夏の陽射し、多摩川から川崎を越え、やっと鶴見辺りまできた。飢えと渇きに襲われた和也は、自転車籠にあった菓子とジュースを盗もうとして、持主の中学生に捕まってしまう。殴られて、母が買ってくれたゲーム機まで奪われてしまう。ゲーム機は完全に破壊され、身も心もボロボロになりながら、なおも歩き続ける和也。

 

翌朝、関内の公園で寝ていた和也は、空き缶を集めて生計を立てている末吉(佐藤恒治)と出会い、フランス座への行き方を教えてもらう。 ようやく辿りついたフランス座は閉まっていた。ドアの前で寝てしまう和也。男がやって来て、眠っている少年を見やる。フランス座支配人、丸山繁則(岸部一徳)であった。久しぶりに再会した丸山に、和也は父親のことを聞く。「あいつは、ジプシーにこう言った。お前の血が気に入らん。堕ろせっ、てな…」。

 

丸山はぼそぼそと少年に応え、大臣の娘との結婚も決まった、と近況も付けくわえた。実父について初めて聞いた10歳の少年には、到底受け入れがたいものだった。 閉館したストリップ劇場を去る丸山は「一緒に来るか?」と少年を誘う。首を横に振る和也。翌日、丸山は静かにフランス座を出て行った。

 

誰もいなくなった館内を物色していた和也は、かつて母が持っていた缶を発見する。そこには一枚の写真と煙草の“ショートホープ”が一箱入っていた。見たこともない美しい笑顔の母親、一緒に写っているのは和也の知らない男。 町を歩く和也は、県会議員候補 米田利一(芹沢礼多)のポスターを見つける。それは写真の男だった。咄嗟にポスターを剥がして走り出す和也。

 

駅前で途方に暮れていると、止まった車から女が降りてきた。ふと見ると、運転席にいたのは米田だった。走り去る車を追いかける和也。 追いつけなかった和也は、一緒にいた女を尾行し始める。彼女が大量のナメクジを捨てると、和也が咎める。それは、彼女が飼っていた亀の餌だった。きっかけを掴んだ和也はポスターを出して、「この人に会わせてよ」と女に頼む。「結婚すんだろ? 大臣の娘なんだろ?」。しかし、女の名前は水沢マリ(中村麻美)、大臣の娘と婚約した米田に捨てられた、サラリーマンの娘だった。

 

和也にジプシーと米田の写真を見せられたマリは、少年の熱い思いに心動かされる。 その夜、和也、彼を探しに東京からやってきた良輔、ホルマリン漬けの亀を手に現れたマリの3人は、本来の住人たちがいなくなったストリップ劇場に集う。良輔とマリは些細なことから口論を始め、割って入った和也は亀が入った瓶を床に叩きつける。死んだはずの亀が歩きだした。生きていた亀を抱えて和也は大岡川へ行って、解き放つ。

 

戻った和也の目に、ドアに残された口紅の文字が飛び込んでくる。〈あした あわせてあげる マリ〉。リュックからショートホープを出して不慣れな手つきで火を点ける和也に良輔が言う。「タバコ吸わねえぞ。母ちゃん」

「じゃあ米田の煙草を大事に持ってたんだ。そういうの、愛ってゆうんだろ?」 翌日、マリがやって来た。遂に父親に会う時が来た。待合せは駅前の喫茶店。四人掛けのテーブルに座るマリ、真後ろの席で待つ和也、車で待機する良輔。その時、米田が喫茶店にやって来た。果たして、米田は何と応えるのか? 和也は父に何を問うのだろうか?